Y.S
技術開発本部
商品開発センター
自動車の電動化、蓄電システムの拡大。エネルギーを「貯める」技術は、今や社会インフラの中核を担っています。
その性能を決定づけるのが、電池の「負極材料」。
日本重化学工業は、リチウムイオン電池用のSi(シリコン)系負極材料の開発に取り組み、高容量化と長寿命化という難題に挑んできました。

Y.S
技術開発本部
商品開発センター

H.K
技術開発本部
商品開発センター

Y.A
技術開発本部
商品開発センター
このプロジェクトが始まったのは2008年。炭素系材料では到達できない性能を求めて、シリコンという新しい素材に可能性を見出したのが出発点でした。
Y.S
当時はまだ、Si系負極を実用化できている企業はほとんどありませんでした。理論的なエネルギー密度は高いものの、反応のたびに材料が膨張・収縮して構造が崩れるという課題があったんです。
ただ、当社には粉体技術の蓄積があり、これをどう応用するかが鍵だと感じていました。
H.K
私は分析担当として関わり始めました。同じ条件でも結果が異なることが多く、「なぜ変わるのか」を可視化するところからのスタートでした。
材料の組成・粒径・構造など、あらゆる要素を整理し、その“違い”の意味を見極めることを重ねていきました。
開発初期は、未知の領域を手探りで進むような日々。各部門が連携しながら、試作と検証を繰り返していました。
Y.A
私は後期から加わりましたが、最初に感じたのは「積み重ねの厚さ」でした。
数えきれない実験記録とデータが残されていて、そこから“次の仮説”を導き出すのが自分の役割でした。
地味な作業ですが、再現性を上げることが品質の基礎になります。
Y.S
既存データを整理しながら新しい視点を加えてくれることがチームの力になります。
素材開発は、実験の数ではなく、「結果をどう次に活かすか」で前に進むものです。
開発が進むにつれ、材料設計・プロセス・分析の連携がより密になっていきました。
現場の声が研究に、研究の仮説が現場に――。部門を超えた“往復”が、技術の精度を上げていきました。
H.K
研究所と生産現場でデータの共有方法を工夫しました。同じ材料でも条件が微妙に違うと結果が変わる。
分析値だけで判断せず、現場の感覚を加味して「なぜこうなったか」をチーム全体で議論する体制に変えました。
Y.S
地熱開発同様に、素材開発も“現場の知”が重要なんです。実験データだけでは見えない挙動を、現場の担当者が察知してくれることがある。
その小さな違和感を拾い上げることで、開発のスピードが大きく変わりました。
現場での試行錯誤と研究所の分析が、一つの線で結ばれていく過程。
チームは着実に、実用化に近づいていきました。
Y.A
工程条件の最適化は本当に根気のいる作業です。
温度、時間、雰囲気――。どれか一つを変えると、他の要素も変わる。
それを地道に検証していくしかありません。でも、結果が理論と一致した瞬間は、すごく嬉しいですね。
H.K
現象の裏付けを取るとき、現場の目線がすごく助けになります。数字と感覚、両方がそろって初めて“再現できる技術”になる。
そこに面白さを感じています。
EV、蓄電池、再エネ――。社会の電力構造が大きく変化する中、リチウムイオン電池の役割はますます重要になっています。
その性能を支える材料技術は、エネルギーの未来を左右します。
Y.S
技術を社会で機能させるには、“安定して供給できること”が前提です。
研究成果を製品化し、品質を保ち続ける。その仕組みづくりをどう構築するかが、今のフェーズの大きなテーマです。
Y.A
研究が社会につながっていく手応えを感じています。
EVが普及すれば、環境へのインパクトも変わる。その一部に自分たちの技術が貢献できるのは、やりがいがあります。
開発の現場では今も新しい試験が続いています。技術の深化と並行して、チームの世代交代も進んでいます。
H.K
次の世代にどう技術を伝えていくかも課題です。
データを残すだけでなく、“なぜその判断に至ったか”を言語化する。経験を知識として継承できる環境を作りたいと思っています。
Y.S
地道な研究の積み重ねが、結果的に社会を動かす。技術者としての誇りはそこにあります。
このSi系負極材料の挑戦は、日本の電池産業を支える基盤技術として、これからも進化していきます。
次に見るべきコンテンツは?